建設業界の人手不足に関して一言
(小声で)「自業自得だと思います・・・」と、面接した派遣会社のエージェントの方がおっしゃった。これはとても穏やかで親切な礼儀正しい人物の発言だ。
自分も同じく感じていたので大きくうなずいた。お互い乾いた笑いになった。それが建設業界に対しての人材派遣業界の総論だろう。
別の大手エージェントの管理職の方ともお話したが、遠回しに電気・ガス・水道・建設はインフラであり、社会に欠かすことがないものではあるが、将来的に大幅な増加は望めない、現状維持だろうと述べられた。求人量の円グラフも見せられたが、他の業界のほうが圧倒的だった。彼も大変礼儀正しく、腰の低い人物だったが、建設業界に対して何かあったのか、非常に突き放した態度だったのをよく覚えている。
こちらの採用ハックさんの記事で人手不足の原因は若手の離職率にあると延べられているが、体感的なことが記載していないので以下に追記しておきたい。
■目的と手段の合理的な形成がない
書籍「失敗の本質」の時代から何の進歩もない。
■社員のプライドと能力が比例してない。
「やってもらわないと困る」「困りますね」と言っているが、指示を出す当人に実務の経験がない。
■納期から作業工数の逆算ができない。
これも同じく、指示を出す当人に実務の経験がないか少ないので最後はデスマーチになる。
■労働負荷と賃金が釣り合わない。
下請けや派遣会社の人間にとって、最早この業界は良い給与がもらえる業界でない。
同程度の賃金で建設業よりも労働負荷の低い業界は探せばあるので、若年層から逃げてしまう。
■スキルが他の業界で役立たない。
一流大学卒でスーパーゼネコンに入ったプロジェクトマネージャー(PM)と、それ以下の学歴で中小のプラント会社の配管設計に入社した人間に対する転職エージェントの評価は、実は配管設計のほうが良かったりする。学歴はゼネコンだが、実務は専門的にやってきた配管設計の人間のほうが上になる。PMのようなでき上がったもの対して品評したり、お客さん向けのプレゼン資料の作成に注力してきた人間と、ひたすら配管の設計や計算をしてきた人間では他の業界での評価がまるで違う。
■若手社員の動向
SNSやWEBで企業の内部情報が簡単に入手できるようになり、企業の実態がむき出しになったが故に、内情を知った若手社員が3年以内に大量に退職してしまう。転職会議やOpenworkが代表的だ。そして就職活動中の学生は、OB訪問や学校に来たリクルーターより入手した情報をSNSで拡散・共有して、企業データベースのようなものを作ってしまう。ホリエモンの言う「情報の民主化」だ。
【堀江貴文さんのコメント】
昔と違って情報が溢れている/その世界にどっぷり浸からないと分からない事が沢山有ったけど/今はネット上に全部ある(全部YouTubeに上がっている)/(昔は)情報が民主化していなかったから/(今は情報を)スマホで何でも検索できる/なんでも情報が知れる時代に下積みの修行は意味がない
また、以下のような現場の実態も明らかになってきている。
■ではどうする?
一旦、池の水を全部抜いて、外来種の害魚や廃棄物を取り除くしかない。
いわゆる既得権益層、中産階級や富裕層の子息が入り込んで彼らにとっての実質的なベーシックインカムのような組織になってしまっているので、それをやめるしかない。
映画の製作委員会のように一作品ごとに集合・解散をする組織に作り変えて、実作業者に利益を還元していく組織に作り変えていくか、Netflixに引き抜かれたアニメーターのように外資による組織改革しかないのではないか?
<この項、了>